• ゆっきー監督

ゆっきー監督のサブカルチャー談義11

最終更新: 2018年8月29日

不定期掲載のサブカル談義もようやく11回目。


目指せ100回!


…先は長い…。


どうも、チーム西の森の監督、ゆっきーです。


今回はアニメ編でございます。


今回の談義はこちらの作品!

「シュタインズゲート」


オリジナルは2009年のXboxのゲームソフトで、以降様々なコンテンツで展開されています。


僕はゲームはやっていないので、ここで談義するのはアニメ版です。


2018年夏現在「シュタインズゲートゼロ」というオリジナルのその後のエピソード(その後、という表現は不適切?)がアニメでやっています。


もちろん今やっているゼロもかなり面白いのですが、やはりシュタインズゲート、略してシュタゲはオリジナルがまさに傑作。


僕の中では心に残るアニメ、不動のベスト3にランクインしています。


ネタバレせず、簡単に物語を説明すると、タイムマシーンで過去に飛び、悲しい現在や未来を変えるために主人公が奔走するお話です。


というと、かなりSFあるあるなのですが、よくある時間軸を移動するサイセンスフィクションと決定的に違うのは、そこにアガサクリスティ並みの極上サスペンスが、そりゃもう綿密すぎるくらい散りばめられている、ということ。


ただでさえ謎が謎を呼ぶ展開なのに、混乱するほど時間軸が移動します。


タイムマシーンといえば、バックトゥザフューチャーのデロリアンが有名ですね。


言うなればシュタゲはデロリアンに乗って、殺人事件、逃れられない事故、国家的陰謀、などなど、とんでもないドラマを「世界線ごとに」体験するお話です。


シュタゲが傑作たるゆえんはきちんとこの「世界線」を丁寧に描いていることが一番の理由でしょう。


シュタゲは従来のサイエンスフィクションでは、どうしても曖昧にせずにはいられなかった「バタフライ効果」をこの「世界線」というアイディアをもって勇敢に立ち向かっています。


「バタフライ効果」とは簡単に言えば、力学上、本日の一匹の蝶の羽ばたきは来月のはるか遠い場所で起きるであろう大きな嵐にも影響する、というもの。小さな変化が大きな影響を生むという意味でよく使われますが、実際はとても複雑な理論で構成されています。


バックトゥザフューチャーでも、過去の自分にギャンブルで大勝ちさせて、未来でお金持ちになっているというエピソードがあり、とても楽しいエンタメでしたが、やはりあのままではつじつまが合いません。


現在の自分Aが過去に戻り、過去の自分Bに万馬券を教えます。


そして過去の自分Bが万馬券で大勝ちします。


未来からやってきた自分Aは元いた世界(現在。Bにとっては未来)に戻ります。


するとこの時、Aがいた「現在」という時間に「AとBという自分」が二人いることになります。


馬券を買って時を経た自分と過去から戻って来た自分です。


当然つじつまが合いません。


実際に馬券を買った過去の自分Bと、Bに馬券を教えただけで実際には馬券を買っていない自分Aが同じ時間にいるということですから、物語の収拾がつかなくなります。


過去に戻れば戻るだけ条件が違う自分が増殖していく。


現実ではこの謎を解明できないのでタイムマシーンは作れないと科学者たちは断言しているわけですが、フィクションではうまくやれば都合くらいはつけれます。


つまり馬券を買った自分Bは大金持ちでも、過去に行った自分Aが大金持ちになっているわけではないという究極の矛盾が生まれるわけですね。


蝶の羽ばたきではなく、人間で「バタフライ効果」を表現しようとすると、どうしてもこの矛盾が作品内に立ちはだかります。


…ややこしいなっ!


だからこそ時間軸を扱う作品では「で?どういうことなの?」と、納得できるバタフライ効果の説明が求められます。


そして、この問題は「作品内の時間軸を一つ」と仮定した場合にのみ起きます(現実ではそれが真実ですが)

ちなみにバックトゥザフューチャーは時間移動がテーマで、時間軸の数はテーマにしていないので、この点に関しては投げっぱなしです。


この「バタフライ効果を体験する自分という存在の不都合」をシュタゲは「世界線の移動」によって解消しようと挑戦し、成功しています。


こうした不都合が起きるので、時間軸を移動する物語はかなり慎重にそして「フェア」に描かないと大概失敗します。


バックトゥザフューチャーが今でも名作に挙げられているのは、この時間軸移動をフェアではなくとも(だいたい往年のハリウッド作品はずるい設定が多い)極上の娯楽として突き抜けさせたからです。


ギャンブルで勝つ世界に自分が二人いる事実を納得できる形で説明しなければ、タイムマシーンはただのずるいドラえもんの道具です。扱えるのはこの世でドラえもんだけになってしまいます。つまりデロリアンはドラえもんの道具です。


シュタゲではこのいくつもある世界線を見事に同等に描くことに挑戦し、脱ドラえもんに成功した、というわけです。


過去を変えることは相応のリスクがある


未来を伝えたからと言って必ずしもハッピーエンドにはならない


シュタゲに説得力があるのは、リアルではなくリアリティ(結局はフィクション)を追求することによって、見事につじつまを合わせたからなのでしょう。


タイムマシーンを扱ってリアルに描こうとしたら100パーセント失敗しますよね。だってありえないんだから。


そこをフィクションという強みを存分活かし、架空の設定をまるで事実のように語る


つまりシュタゲは完璧な嘘を表現した作品なのです。


完璧な嘘ですから、そりゃ隙なんてありません。


そしてそれら世界線を彩る強烈なキャラクター達が全員魅力的すぎます。


全員が主役級として丁寧な扱いで、捨てキャラが一人もいない。


すると本来なら主人公が薄くなったりするのですが、主人公がまたさらに上を行く個性を持っているので、物語はどのキャラを見ても楽しむことができます。


強いて言うなら今やっている「ゼロ」は、ストーリーの緻密さはイーブンでも、この神懸っていたキャラクター達のバランスが悪くなっています。新キャラ推しが理由ですが、新キャラはオリジナルのキャラほど個性はありません。


…ってゼロはまだ終わってないので半端な批評は避けましょう。


多分一度見ただけでは、あまりに展開が複雑すぎて「?」が多いこのシュタインズゲート。


何回見ても本当に面白いので、ぜひ何度も見て世界線を越えてみてください。


笑えて泣けて、頭も使うシュタゲ。ただのオタク向けのアニメと思ったら大間違いですよ。


ゆっきー監督、心から脱帽したイチオシアニメです!


#シュタインズゲート #シュタゲ 

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