• ゆっきー監督

ゆっきー監督のサブカルチャー談義14

なんだかアニメばかり続いてる気がしますが、つい先日改めて見て感動してしまったので…。


今回のサブカル談義はこちらです。


「君の名は」のヒットが記憶に新しい新海誠監督作品「秒速5センチメートル」


劇場公開は2007年です


10年以上も前なんですね…。


「君の名は」がヒットした時、個人的には「今さらか!?」と不思議がったものです。もちろん「君の名は」も、とても素晴らしい作品でしたが。


2007年当時、アニメーション映画といえば、ほぼ「ジブリ」の独壇場だったように思えます。宮崎監督は2008年に「ポニョ」を発表し、これまた空前の大ヒット。


…でしたが、2018年現在のアニメ界へ至る道はこの辺りから始まっているような気がします。


もののけ姫、千と千尋、ハウル、ポニョを作ってきた宮崎監督は、少しずつ大衆性よりもパーソナルな作品へシフトチェンジし、「風立ちぬ」へ至りました。


新海さんはただ一点「ピュアな青春」をひたすら追求する10年です。


世間でもよく言われていますが、新海さんはポスト宮崎監督として、よく比較されています。


が、今も言った通り、描いているテーマは全く違います。


宮崎さんがパーソナルな作品に回帰している最中、ふと穴が空いていた「ブロックバスター的大衆作品」に見事「君の名は」がはまったということなのでしょう。


新海さんは視聴者が恥ずかしくなるほど「ピュア」に特化します。そしてそれをぶれずに常に描き続けています。


中二病なんて言葉が今ほど使われることはなかった2007年の「秒速」は、今では究極の中二病作品と言えるでしょう。


誰もが感じたことのある「大人への残酷な階段」を「初恋」をモチーフにして描いた「秒速」は、徹底的に「感傷」をちりばめています。


主人公の貴樹君の感傷


ヒロイン明里ちゃんの感傷


もう1人のヒロインの花苗ちゃんの感傷


「秒速」が素晴らしいのは、この三種三様の「感傷」が見事に現実的な物語として成立していることだと思います。


貴樹君の感傷は男そのものです。


悪く言えば「初恋」を引きずる男ですね笑。


と言いながらも男ってこういうことあるんだよなあ…と他人事とは思えない男諸君はたくさんいるはずです。


記憶として男は、パソコンで言う「別名保存」をすると言われています。かつて好きだったAさんの記憶と今付き合ってるBさんの記憶は、別フォルダに入っているようです。


これは女性には分からない部分らしく、よくケンカするカップルがいるようですが、この男の記憶領域は「世の男代表」として僕は真実と断言できます。


かといってこれは今付き合ってるBさんより過去のAさんへの想いが強いという短絡的なものではありません。


この2人は比較対象にはならないからです。


このことを貴樹君が体現してくれています。


秒速でBさんは言います。「1000回メールしても心は1センチしか近付けない」


なんて的を得たことを言う彼女でしょうね笑。貴樹君もグサッときたことでしょう。


今さら明里ちゃんとどうこう、と考えているわけではない貴樹君ですが、喪失感が彼の心の弾力を奪っているため、Bさんとの恋愛もうまくいかない。


現実的に明里ちゃんと今さらどうにかなる、と貴樹君も思っているわけではありません


けれど、その「たらればストーリー」をつい考えてしまう。


貴樹君の感傷は、「男ってやっぱり弱いよな」と思わせ、男の僕も共感できる「あるある感傷」ですね。


といってもさすがに貴樹君の喪失感は半端ないですが…。


ヒロイン明里ちゃんの感傷もまた見事です。


貴樹君を失っても、心の弾力は失わず、きちんと恋愛し、結婚もする


残酷なようですが、女性の在り方をとても上手く表現しています。


ファンとしては「明里ちゃんの旦那は誰だこの野郎!貴樹君との物語に終止符打ちやがって!」と言いたくもなりますが、ここが女性は強いと言われる所以ですね。


貴樹君が上書き保存されている、とまでは言えませんが、きちんと過去と現在を分けて、人生を歩んでいる明里ちゃんは、現代人のしかるべき女性像だという印象を受けます。


結婚しても彼女の心には、やはり貴樹君が大切な存在として、残り続けています。


でもきちんと旦那も愛す


現実的な観点でも、とても魅力的な女性です。


もし貴樹君との思い出に浸り、恋愛も結婚もしない人生を明里ちゃんが歩んでいたら…


ぞっとしますね苦笑。そんな明里ちゃんは見たくない笑。


そして問題は花苗ちゃんです。


彼女がこの作品を決定的に「ピュア」にした存在です。


一途な恋、実らぬ恋


片想いの少女を完璧に演じ切っています。


アニメ史上、ここまで見事に片想いをしている女子はいないのではないでしょうか?


花苗ちゃんの感傷をメインで視聴すると、明里ちゃんの印象がやや悪くなってしまうほどです。


秒速を三つの短編にし、花苗ちゃんのエピソード「コスモナウト」を中盤に持ってきた構成力は新海監督の抜群のセンスですね。


日本人好みの「起承転結」のお手本です。


さらにこうした三種の感傷に、山崎まさよしさんの曲が完璧にはまっています。メロディや歌詞が、三人の心にはまるという奇跡。


このアニメのために書いた曲と思わせるほどです。


ごく個人的な意見ですが、この作品で「愛と恋の違い」を僕は学んだような気がします。


はっきりいってとても青臭く、恥ずかしくなる場面もたくさんあるのですが、秒速を見ると、人間としても男としても、クリエイターとしても、心に響くものを得られます。


心のみずみずしさ、って言うんですかね。なんだか取り戻せるんですよ。


そして、何回見ても泣いてしまうという笑。


まあ、そもそもアーティストなんてだいたいが「中二病」ですからね。


夢を追う


自己表現する


なんて中二病じゃなきゃできませんよ笑。


それでいい。それがいい


と青臭いことを考える自分の背中をやさしく押してくれる「秒速5センチメートル」


大人になり、曇ってしまった目には眩しく映るので必ずや我々が持つ「大人の理屈」をリセットしてくれるでしょう。


今あなたの大切なモノは何ですか??


情報社会と言われ、とにかくスピードが求められる時代。


気付けば心の弾力を失ってしまった大人達はたくさんいることでしょう。


そんな大人達全員におススメの作品です。


取り戻せ


忘れていた「あの感覚」を。

#秒速5センチメートル #新海誠 #君の名は 

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