• ゆっきー監督

ゆっきー監督のサブカルチャー談義8

これはもしかしたら今現在の日本におけるサブカルチャーの頂点に君臨するかもしれない作品ですね。


僕も全くの偶然で見始めたアニメ「ポプテピピック」です。

これほど毒にもなって薬にもなりうる作品には、そうそう出会うことはないでしょう。

はっきり言って、中身やテーマといったストーリーによる概念は、作品を通しては一切ありません。

シュール、といえば響きはいいのですが、その実、無意味とも言える内容です。

あまりにくだらない4コマ漫画的ギャグがただひたすらに続きます。

実際にそうした「サブカル的発想のアニメーション」は多数あります。今放送している「おそ松さん」もその類ではあります。


「おそ松さん」もかなり鋭く深い「毒と薬」を持った作品です。個人的には大好きです。そういった意味では、この二作品はかなり通じている部分があると感じました。どちらもアニメーションとしてもかなりのクオリティです。


が、決定的な違いがあります。


「おそ松さん」がどんなにアニメーションの定義を壊しにかかっても、主体はやはりストーリー性にあります。六つ子というフィルターを通した物語です。

例えるなら、ボディが物語、レンズが六つ子、という一眼レフカメラのようなものです。

物語をキャラクターを通して語るという、いわばフィクションのマニュアルを踏襲している、というわけです。


このポプテピピックにも「ポプ子」と「ピピ美」という強烈な主役がいます。

でもこの二人は「ポプテピピック」という作品のレンズにはならない、むしろボディのような存在です。

ではこのカメラのレンズは何か??

それは無数に散りばめられた「過去のパロディ」です。

あまりにマニアックなネタが至る所に散りばめられています。

ポプ子とピピ美をボディにして、このパロディネタがレンズになっています。

つまりこのカメラには物語が標準装備されていないのです。

ここですでに一つフィクションの定義を完全に壊しています。


さらにポプテピピックの特徴はアニメのAパート、Bパート、が全く同じ内容(微妙に違う時もあり)で声優が違うという作りになっています。

超超大御所の声優達から今の売れっ子声優達が、前半、後半で同じ絵に声を当てるという、新しい手法でオンエアされています。初めは放送事故かと思うほど、繰り返される映像。


そこにアドリブ満載の声優達が、ベースの台本だけをキープし、まるで自分の演技論をぶつけるかのように声を入れています。

これは僕にとって、かなり衝撃でした。

実際にヘッドフォンで、きちんと真剣に見ると(真剣に見るような作品でありませんが…)作品がこんなに変わるものなのかと、痛感します。

昔の作品を現代風に改変して、声優も変えるということはよくありますが、全く同じ絵で、しかも同じ時間枠で聞き比べられるというのは、衝撃的です。


同じ絵と同じ台本でここまで演技が変わり、ここまで作品も変わるのか、とついつい何回も見てしまうマジック。


よくこんなことが今時できたものだ、と思っていると、製作は完全にキングレコードのみ。


つまり多数の出資会社で制作される今時の「製作委員会方式」をとっていないのです。


多数の会社が出資する、ということは、その分すべてが痛み分けになります。いろんな意見も飛び交うでしょう。

するとやれることとやれないことが大幅に出てきます。俗にいう大人の事情ですね。


ポプテピピックは完全に独立した状態で制作されているので、一つのことに特化できる、ということなのでしょう。


つまり大人の事情とやらがあまり入らない状態で作れる、ということですね。制作する側にとってこれほど嬉しいことはないでしょう。


制作会社は20名ほどで、今時のアニメ制作会社の「ブラック企業イメージ」を吹き飛ばす「10時出勤19時退社」を徹底しているとのこと。19時になると、みんな帰りましょうという「ほたるの光」が流れるそうです。


世の中の会社は見習った方がいい風習ですね。


そんなにブラックにならなくても良質なアニメって作れるよね、ということが社訓らしく、まさにそれを実践しています。にも関わらず、その丁寧な仕事が評価され、発注が凄まじく、飛ぶ鳥を落とす勢いで会社が成長しているようです。


世のアニメクリエイターたち全員が羨む会社の一つ、といっても過言ではないでしょう。


一見無茶苦茶に雑に作られているようなポプテピピックですが、ものすごく丁寧に手の込んだ映像です。クリエイター全員が優秀でなければ、絶対にたどり着けないクオリティです。


さらに歴戦の声優達がキャラに命を吹き込んでいます。


確実に好き嫌いが分かれる作品ですが、個人的にはかなりえぐられました。先日のデビルマンもかなりえぐってくれましたが、制作方法やアイディア、制作費という点で、このポプテピピックは、かなり考えさせられます。


けっこう僕も毒にも薬にもなる作品を書いてるつもりでしたが…脱帽ですね。これには完敗です。


余談ですが、エンディングテーマも最近とても人気があるようです。


90年代のフリッパーズギターやビーナスペーターなど「渋谷系」や「ネオアコ」と呼ばれた音楽をそのまま引っ張ってきたような懐かしいサウンドです。僕もよく聞いていたので、非常に馴染みが良く、最近家ではもっぱらこのエンディングテーマを流しています。


一般的アニメに慣れて刺激が欲しい方、ぜひポプテピピックを視聴してみてください。


破天荒っぷりにびっくりしますよ!



#ポプテピピック #おそ松さん

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