• ゆっきー監督

ゆっきー監督のサブカルチャー談義4

早くも訂正します。


今後はこのコラムで映画、文学、音楽


ではなく、やはりアニメと漫画のことも書いていきます。


あまりジャンルを広げるのもどうかと思い控えていたのですが、僕はアニメも漫画も大好きです。でもアニメと漫画に関しては、他三ジャンルほど談義できる自信がありませんでした。自分で作ったことないジャンルですから。


ここはネタばれなど品のないことを書くつもりもないですし、あくまでカルチャーを談義する為の場所です。


責任もって誠実に語りたい、その為には知識も教養も必要だと思っていたのですが…。


撤回します。


今後は書いていきます。アニメも漫画も書いていきます。


なぜなら、今この瞬間に世界最高の傑作に出会ってしまったからです。


その傑作の名は「DEVILMAN crybaby」


久々です。ここまでえぐられたのは。少なくとも今この視聴した瞬間は世界最高のアニメだと断言できます。


デビルマンという名前くらいは誰でも知っているでしょう。


永井豪さんの名作。1972年から73年にかけて連載していた漫画です。きっとイメージは心優しい「デビルマン」が人間を襲う悪魔と戦う、といった物語を連想するのではないでしょうか?


このイメージはあくまで、原作から外れたオリジナルアニメの影響です。


デビルマンの原作はそもそもとてつもないカオスになっています。


永井さん本人も言っていることですが、ストーリーは書きながらペンに任せたというほどで、ストーリー破綻、設定破綻、モラル破綻


と、全てが破綻しています。簡単に言うとむちゃくちゃです。


一年間の連載で最初と最後ではもはや別物の作品とさえ言えます。


この破綻は時代性とも呼べるものです。まだ漫画という文化が根付いていない時代。


つまりプロットも企画も会社に提出する必要はない時代だったのです。


この作品には二つ、ターニングポイントがあります。


飛鳥了と牧村美樹の存在です。この二人が破綻と壮大な世界観を構築しています。


はっきり言えば原作ではこの二人はキャラクターと呼べるキャラではありません。例えるなら、300円で売っているスーパーの肉が実は数万円の最高級の肉だった、くらいに別人に変貌します。


例えが雑ですいません。


変わるのは当然ですね。作者自身も分かっていなかったのですから。


個人的にこの破綻ぶりがどうにも馴染めず、すさまじいエンディングと後半の美樹ちゃんだけが心に残っている作品でした。強烈な個性的作品という印象です。もちろん美樹ちゃんのことと、エンディングには胸を貫かれましたが、長い間、破綻しているこの作品には複雑な思いでした。


そして2018年今年。


デビルマンがDEVILMAN crybabyとなって「配信」されるとのこと。しかも原作を再現しますと断言。


あのカオスを現代のアーティスト達がどう表現するのか?


いや、できるのか?


そんな思いで視聴しておりました。


原作では当然出ているはずもない、軽いノリのラッパー軍団が登場。さらに独特の質感の動画。


オープニングは無機質なCG映像でワングルーヴしている、電気グルーヴの個性的サウンド。歌詞は、マン、ヒューマンのみ。


強烈です。とにかく尖っている。


現代デビルマンの装いはかなり違いました。多分この時点でやっぱり無理だよな、と思ったコアなファンはかなり多いでしょう。きっと原作を知っている人は中盤くらいまでは馴染めなかったのではないでしょうか?


かく言う僕もそうです。正直「まあ…色々難しいよね…」となんだか偉そうに原作と比較しながらつい視聴していました。


でも


このことに関して僕は今、制作スタッフに心から土下座したいと思っています。


大胆なキャラクター、伏線、音、何もかも全てが伏線


全てが後半のカタルシスに用意されていたことを知った僕は、特にラスト三話は呼吸するのを忘れていました。まだ寒い2月なのに、なぜか汗だくになっていました。


スポンサー絶対のテレビ放送では絶対にできない過激な演出


原作を再現しながらも現代に馴染む演出


この二点において「DEVILMAN crybaby」は現代のアニメ産業に新たな金字塔を打ち立てた作品だと僕はここで断言できます。


そう、この現代デビルマンは演出が革命的なほど素晴らしかったのです。


もちろんそれ以外も素晴らしかったですよ笑。


破綻している原作を表現するだけでも困難だったはずです。悪魔など神話的存在をモチーフにするのも、ネット社会を表現するのも、神懸っていなければきっと不可能です。ただのチープな原作の焼き増し程度になっていたでしょう。


ところが、です。


神懸っている、そうとしか言えません。


逃げなかったのでしょう。真っ向から立ち向かったのでしょう。本当にスタッフ全員が愛を込めて作ったのでしょう。


それが伝わりました。エンディングを知っている原作を読んでいる人、つまり僕でもエンディングを見た時は涙しました。


不可能に思えたあの伝説のシーンも完璧です。本当に本当に完璧です。焼き増しではありません。現代に通じる表現方法で、しかもきちんと美樹ちゃんの「表情」を描いています。


規制があるテレビでは無理な表情の美樹ちゃん。あの痛々しさを真っ向から…。感服です。脱帽です。



もちろんエンディングも描いてくれました。


これ以上は本当にネタバレになるのでご容赦ください。


この手のストーリーだと視聴者はどうしても人間に共感してしまいます。不動明を応援したくなります。明はもちろん応援します。明は本当にいい奴なのです。


でも…。


見てみてください。


誰が悪魔か


誰が人間か


人間の心とは何か


そもそも愛って何なんだよ?


たった10話。5時間に満たない時間で表現されています。


あなたがあの世界にいたらどうしますか?


どの立場になりますか?


答えがない。だからデビルマンはすごいのです。


そしてその内容だけではなく、ビジネスとして、この作品は金字塔を打ち立てたと僕は感じました。従来の「アニメ放映」という枠はこの作品で完全に壊されたと僕は直観しました。


テレビ局に頭を下げて、スポンサーに頭を下げて放映時間と制作費を確保し


スポンサー企業のイメージを落とさないような作品を作る


そんな浅い時代はもう終わった。やろうと思えばネットならいつでも誰でも配信できる。


「そんなくだらないことしなくてもすごい作品は作れる」ということを証明した作品


それがこの「DEVILMAN crybaby」です。


もちろんネットとはいえビジネスですから、どこかで誰かが頭を下げてはいますが…。そんなに簡単ではありません苦笑。


でもかつてのテレビ全盛だった時代は確実にもう終わった。


嘘と体裁で作られてきたテレビ。


その代償はもう取り戻せないほど大きいものになっている。


DEVILMAN crybabyで語られた神話戦争は、まさに今この瞬間のアニメーション時代を反映しているのかもしれません。


なんだか勇気をもらえた気がした、私ゆっきー監督でした。


みなさんも新しい時代の始まりをぜひその目でご視聴ください。


これで心が震えない人は多分鈍いので、自分のセンスを疑いましょう。


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